湯檜曽川ゼニイレ沢

日程:2008/10/05

概要:湯檜曽川ゼニイレ沢を遡行し、白毛門の山頂から15分下の登山道に出て終了。そのまま土合橋へ下降。

山頂:---

同行:---

山行寸描

▲ゼニイレ沢出合。上の画像をクリックすると、ゼニイレ沢の遡行の概要が見られます。(2008/10/05撮影)
▲ゼニイレ沢名物のナメ。不用意に左に逃げるとなかなか水流に戻れなくなる。(2008/10/05撮影)
▲後日、衝立岩から見たゼニイレ沢。確かに一ノ倉沢の真向かいにある。(2008/10/12撮影)

◎「湯檜曽川東黒沢白毛門沢」からの続き。

2008/10/05

△07:15 土合山の家 → △08:00-25 ゼニイレ沢出合 → △12:15-25 登山道 → △12:45 松ノ木沢ノ頭 → △13:55 土合橋

今日は、土合橋から白毛門への尾根をはさんで白毛門沢と反対側にあるゼニイレ沢を登ります。「土合山の家」を出て土合橋の先から蓬峠に向かう新道を湯檜曽川沿いに上流へ進むこと45分、一ノ倉沢にぶつかったところで対岸にガレの堆積が見えました。これがゼニイレ沢です。国境稜線の「覗き」から賽銭を投げ入れると一ノ倉沢を転げ落ちて対岸のこの沢に入るというので「銭入れ」沢と名付けられたそうですが、このガレでは銭は全てせき止められてしまいそう。この上にナメが開けているとは、ガイドブックに書かれていなければ信じられません。朝のまだ頭が十分に働かない状態でぼんやりとガレを見上げながら、ここで沢装備を身につけました。

まずは歩きにくいガレをひたすら登っていきます。今にも崩れそうな土のゴルジュもあったりして、そういうところはできるだけさっさと通過しようとしますが、足場が悪く思うようにスピードが上がりません。それでも、背後に徐々に全貌を見せてくる一ノ倉沢の眺めを慰めとしながら二俣を過ぎるとナメっぽい部分も出るようになってきて、先が楽しみになってきました。

ガレの登りは50分ほどで終わり、100mナメが始まりました。どこでも適当に登れそうな気がしますが、水流の左寄りの比較的乾いた部分を岩のシワを拾いながら登ると、いったんコブ斜面のようなボコボコの沢床になって、数mの段差から再び大きなナメとなります。この辺りがゼニイレ沢の一押しポイントで、さすがに西ゼンなどに比べれば見劣りはしますが、あの出合のガレからは想像もつかない広闊なナメは一見の価値があります。

このナメも左側の乾いた斜面を登りましたが、案外フットホールドに乏しく真上に追い上げられて、すぐ右手に見えている水流に戻りたくてもなかなか戻れずに少々焦りました。下手にフリクション頼みのトラバースをして滑落したら、自分が一ノ倉沢まで転げ入ってしまうことになるのかも?とはいえ、ガイドブックに「15m逆くの字滝」などとあるのは横から見た限りでは顕著な滝というよりはナメ上の単なる水流の屈曲にすぎず、要するにナメのどこでも上に抜ければいいのだろうと自分を納得させて直上を続けました。

ナメの最後は数mの段差状の滝。ここを左から巻いて越えると沢筋は狭まり、さらにいくつかの滝を越えるうちに徐々に水が涸れてきます。最後は再びガレに戻って、二俣(ガイドブックでは三俣)をいったん左に入ったもののすぐに行き詰まり、少々薮を漕いで右隣の沢筋に入ったところ、そのどんづまりにちょいと立派な岩壁が現れました。この奥壁は手前から左側に踏み跡がついていましたが、反対側の右上するランペが易しそうだったのでそちらから上がり、左にトラバースして申し訳程度に湿った本流に復帰。さらにIII級程度の登りを交えながら適当に登っていくともう一つ岩壁が出てきて、ここは左側に回り込んで1段上がってから、灌木をむんずとつかんで腕力頼みで越えました。そこから右へとかすかにルンゼ状になっている箇所を登り、後はひたすら薮を漕ぎます。気持ちとしては右上に登るラインとしましたが、どうやら潔く右トラバースにした方が労力は少なかったようで、それでも10分余りの薮漕ぎで登山道に飛び出しました。

薮を抜けたところは、白毛門山頂から少々下って左へ屈曲し露岩の急坂にさしかかる場所でした。ここで沢装備をしまい、後は昨日と同じ道となります。昨日よりも紅葉が鮮やかになっている気がするのは気温が下がったからか、それとも光の加減でしょうか。眺めの良い松ノ木沢ノ頭で振り返り、楽しかった2日間を提供してくれた白毛門に最後の挨拶をすると、後は土合橋を目指して淡々と急坂を下りました。